ハウルの動く城
「ダブリン上等!」を見に行こうとして、心変わりして見た。
個人的には、「もののけ」や「千と千尋」より断然良かった。
鑑賞中、闇雲に想起させられるテーマやメタファーは、以前の作品に比べてパーソナルな手触りのものが多く、それらを捕まえる作業にジャズを楽しんでいる時のような快感を感じた。
乱立する魅力的なイメージ群(キャラも含む)には、過去の自作品のパロディだったり流用だったりするものも多く、それが逆に、ストーリーから演繹的に作られたものに内在してしまうある種の束縛を感じさせにくくしていた。
逆に言うと、ストーリー自体は、クーリングオフしてるうちに、どうでもよくなってしまう程度のものだったと思う。
恋愛、成長、それにともなう社会への帰属、という一連のテーマを、うまく紡げていたかというと、かなり疑問が残る。というか、そのへん自覚的だったとしか思えない。
個人的にはそれが(結果的に)良かったのだが…、それを放棄・開き直りと見て批判する人も数多くいると思われる。


ただ、少年時代のハウルのシーンなど、各所で、絵の演出力の弱さが目立ったのは、ちょっと残念だった。
あと、倍賞千恵子は悪くないのだけど、あの相当な演技力を要する脚本は、ちょっと無理があった気も。結果として、ソフィーの頻繁な年齢の変化は、それなりにしか表現できていなかったと思う(これは絵の演出力にも問題があった気がする)。
でも、それはそれで良かった気もする。ライヴ感覚で。

そんな感じ…。